第8回八王子血液浄化技術交流会勉強会抄録
 

製品紹介:慢性腎不全用剤「クレメジンカプセル200/細粒」

呉羽化学工業株式会杜
医薬品部 上田恭子


クレメジンは呉羽化学工業(株)により開発された慢性腎不全用剤で、高純度の
多孔質炭素からなる球状微粒状の経口吸着薬である。その形状、細孔の大きさ、
表面の極性基などの物理化学構造により、イオン性有機化合物の吸着特性に優
れている。腎機能が低下すると腎臓からのウレミックトキシン(尿毒症毒素)の排
泄が低下し、体内に蓄積され、更に腎機能は低下する。クレメジンは消化管で
分泌されたり腸内で産生されるウレミックトキシンを消化管内で吸着し、便と
共に排泄する。この事により尿毒症の改善や、腎不全の進行抑制及び透析導入
の遅延効果をもたらすと考えられている。ウレミックトキシンの1つとして近
年数多くの報告のあるインドキシル硫酸に対して、クレメジンは消化管で吸着
し、腎機能の低下を抑制するという報告がある。また透析遅延効果、腎不全進
行抑制効果等の臨床における効果は使用成績調査、一般臨床において確認され
ている。
 

透析患者に対するカリメートの使用法について

日研化学株式会社東京支店
小手真琴


透析患者の特徴の一つとして血清カリウム値が上昇しやすいということが挙げ
られます。他にも臨床症状の一つに高血圧があり、その際に用いられる治療薬
であるACE阻害薬やアンジオテンシンU受容体拮抗薬などのレニン-アンジオテ
ンシン型阻害薬にはカリウム値を上昇させるという報告があります。このよう
な血清カリウム値が上昇した際に用いられる、カリウムイオン交換樹脂製剤カ
リメートについて使用法をご紹介致します。他、カリメートには副作用として
便秘の報告がありますが、その対処法として緩下剤の種類や使用法についてご
紹介致します。また、カリメートの服用感を向上させましたドライシロップ剤
について製剤的な側面を中心にご紹介致します。
 

オキサロール注最近の話題 -Whole PTH測定の意義-

中外製薬株式会杜東京学術室
佐々木幹夫

オキサロール注が発売され2年半が経過しました。その間多くの臨床成績が
蓄積され、二次性副甲状腺機能亢進症の治療に貢献できたと思っています。重
大な副作用である高Ca血症をいかに回避しつつ、効果的な投与を行うかが発売
後の課題となっており、昨年の9月に発売開始とともに全国多施設において実
施している使用成績調査の中問成績をまとめました。市販後における本剤の使
用実態が明らかになってきています。また、二次性副甲状腺機能亢進症の治療
目標も少しずつ確立しつつあり、昨年のK/DOQIにおいて目標intactPTH
150-300pg/mlという値が提唱されました。PTH測定法においても今年の2月に
wholePTHが保険適応となり診断と治療において多くの手段が可能になってきま
した。そこでオキサロール注の使用成績調査の中問成績とwholePTH測定意義を、
本剤投与時の安全性確保、本剤の効果的投与につながるように解説したいと思
います。
 

潰瘍性大腸炎患者に対する吸着型血液浄化器の使用経験

東京医科大学八王子医療センター臨床工学部
久野木忠、畑谷重人、上野隆光、大久保淳、杉原英司、鈴木紀江

【目的】潰瘍性大腸炎患者に対し、二種類の吸着型血液浄化器を使用し、施行
方法等について検討した。
【対象および方法】対象は、潰瘍性大腸炎の患者1名、顆粒球吸着療法(GC
AP)を専用装置にて1時間の治療を5回行い、その後白血球除去療法(LC
AP)を血漿交換装置プラソートEZに専用回路を用い2L以上の処理血液量を
目標に10回行った。抗凝固剤はNMを用いた。
【結果】GCAPは酢酸セルロース製ビーズのため圧上昇などは特に無かった。
LCAPはポリエチレンテレフタレート極細繊維不繊布を用いているため、処
理血液量が1Lでは、ACTが700秒以上と延長、NM濃度も高濃度であるに
もかかわらず、血小板等の吸着による圧上昇によりカラム交換を必要するとき
があった。
【結語】潰瘍性大腸炎患者に使用した、二種類の吸着型血液浄化器は、それぞ
れの治療方法およびトラブル時の対処法を理解したうえで使用する必要性があ
ると、思われた。
 

高流量CHDF施行時における回路の工夫

東京医科大学八王子医療センター臨床工学部
山下忠邦、久野木忠、上野隆光、大久保淳、杉原英司、鈴木紀江、畑谷重人

【目的】透析液を高流量で流すため、単身用透析装置とCHDF装置を接続する回路を作
成しCHDF施行した。
【方法】透析液を作成・供給する単身用透析装置と、体外循環および補液・除水バランス
をするCHDF装置を接続するため、PVCにてカプラーホルダを作成し、5時間の高流
量CHDFを施行した。その後CHDF装置にて通常のCHDFを継続した。CHDF施
行中の各圧力、除水バランス、NM血中濃度について検討した。
【結果】高流量CHDF施行中、各圧力の大きな変動がなく、その後のCHDFへの移行
も支障がなかった。NM血中濃度は、A側では低い濃度であり、V側では3時間目で一時的
に低下したがその後は変化が少なく、フィルターの凝固等もなかった。
【結論】PVCカプラーホルダを用い、単身用透析装置とCHDF装置をつなぐ回路を作
成し、安全に高流量CHDFが施行できた。
 

ボタンホール作製と穿刺法の研究

南多摩病院人工透析科
岡田國男、今田純一、松尾朋昭、 安本浩二、山崎聡子、 川畑政弘、北川元信

【目的】透析技術の向上により透析患者の長期生命予後も著しく改善されてきた。しかし、
まだ残された課題はたくさんあり、血液透析の開始時に行うシャント血管穿刺の際の痛み
もこの一つである。穿刺時の痛みを軽減させる目的で開発された穿刺法「ダルニードルに
よるボタンホール穿刺法」を導入して穿刺時の痛みがどれくらい軽減できるか?また、我々
医療従事者の針刺し事故回避にも有用で有り従来の穿刺法と比較検討する。
【対象と方法】患者の選択
適度な厚さの皮下組織があること
十分拡張したシャント化静脈
皮膚との癒着があり固定された血管
シャントが瘤状になっていない(特に内圧が高い場合)
出血傾向が強い場合は除外
ボタンホール作成キットを用いボタンホールを作成する。
ニプロ製バイオホールスティック(画鋲型スティックの商品名)を使用
留置期間1〜2週間(状況による)
ボタンホール形成後、ニプロ製ダルAVF二一ドルを使用し穿刺する。
 

Etサンプリングポートの性能評価

日野高幡クリニック
宇賀厚子

Et測定用サンプルの採取方法として、長期使用可能なT杜製とゴムボタン式のN社製サ
ンプリングポートについて比較・検討した。
(方法)透析装置に、一次側(EtカットフィルターETCF前)と、二次側(ETCF
後)の同一ラインにT社製とN社製のサンプリングポートを設置し、透析終了後各ポートよ
りEt検体を採取し、「トキシノメーターMT358」でただちに測定した。
(結果)ETCF前後において、両サンプリングポートからの検体は類似したEt値を示
し、特に二次側では両者とも検出感度以下を示した。
(結論)
@Et測定値についてT、N社製とも差はない。
AT社製ポートは針を使用しないため針刺し事故を防ぐことができる。
BT社製はサンプル採集が簡易で、ディスポーザブル製品でないため、長期使用が可能で
ある。

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