@ノルエピネフリン作動性神経機能改善剤 「ドプス」 について
鳥居薬品株式会社 プロダクトマネジメント部 櫻井晃一(さくらいこういち)
 ドプス(一般名:ドロキシドパ)は生体内に広く存在する芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素により直接、神経伝達物質である天然型ノルエピネフリン(NE)に変換され、中枢及び末梢においてNEの補充効果を示す薬剤である。 このNE補充効果は精神神経領域において注目され、パーキンソン病(Yahr重症度ステージV)におけるすくみ足、たちくらみ、シャイドレーガー症候群、家族性アミロイドポリニューロパチー)における起立性低血圧、失神、 たちくらみにおいて改善効果が認められ、 1989年より臨床応用されている。
  一方、 透析領域においては患者の高齢化ならびに原疾患に糖尿病性腎症を有する患者の増加により、 透析中の低血圧ならびに透析後の起立性低血圧等の合併症が問題となり、 特に透析後の起立性低血圧において付随する症状(めまい,ふらつき・たちくちみ)は患者のADL・QOLを著しく損ねることが言われている。 ドプスは透析開始1時間前に経口投与することで、血中のNE濃度を48時間上昇させる効果があるため、このような透析後の起立性低血圧に伴う症状(めまい・ふらつき・たちくらみ、倦怠感、脱力感)に対し、透析日のみならず、 透析翌日。 透析翌々日の症状まで改善効果を示す事が報告きれている。 また、 ドプスは透析患者における透析直後の起立負荷試験において、 患者の脳血流量の低下を抑制する効果が認められている。

A「W型PMMA膜を加えた東レ・ダイアライザーの展開」
東レ・メディカル株式会社
PMMA (ポリメチルメタクリレート)膜ダイアライザー“フィルトライザー”は、30年の臨床実績を有し、 β2-MGを含めた低分子量蛋白質の吸着特性に優れていることが実証されております。大礼径化を行ったBK-Fシリーズではヘマトクリット値の上昇が、膜孔の均一化・多孔化を行ったBGシリーズでは、痒みの改善効果等が報告されております。 今夏、 IV型PMMA膜ダイアライザーBG-PQも上市いたします。 ポリスルホン膜ダイアライザー"トレライト(モイストタイプ)は、 「トレスルホンTS」 で培った技術に加え、中空糸のみを湿潤状態にすることで、ドライタイプ並の軽量化とさらなる溶出物の低減に成功しました。 非対称構造に基づくシャープな分子量分画特性を持ち、小分子量物質から低分子量蛋白質まで高い除去性能を有しています。

BネスプR静注用製品紹介
キリンビール株式会社学術推進課
勝木宏幸(かつきひろゆき)
透析療法の進歩は慢性腎不全患者さんの生命予後やQOL、合併症の改善に貢献してきました。とくに腎性貧血は深刻な合併症の一つでしたが、1990年、遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン (rHuEPO)製剤の発売により、定期的な輸血を必要とする患者さんは激減し、貧血に伴う倦怠感・息切れ・めまい・動悸などの症状が改善きれ、患者きんのQOLの向上が認められるようになりました。現任、透析患者さんの8割以上においてrHuEPO製剤か投与されています。しかし、適切な貧血改善効果を得るためには血液透析患者さんにおいてrHuEPO製剤を透析ごとに最大週3回静脈内授与する必要があります。 注射投与は透析医療従事者にとって負担のかかる業務であり、 医療事故防止の観点からも投与回数の減少が望まれていました。
新しい持続型赤血球刺激因子製剤ネスプRは、遺伝子工学・糖鎖工学により従来のrHuEPO 製剤に新たにN-結合型糖鎖を2本付加した遺伝子組み換え糖タンパク質製剤です。新たな糖鎖の付加により血中半減期が約3倍に延長し、従来のrHuEPO製剤より少ない投与頻度で、同等の貧血改善効果を示します。

C北八王子クリニックにおける院内システムネットワーク
医療法人社団檸会 北八王子クリニック
平野浩二(ひらのこうじ)、中澤美樹、鈴木恵美、石田祐希、田中茂樹、首藤 裕
[はじめに]一昨年8月1日医療法人社団樺会北八王子クリニックを開院し、丸2年が経過しようとしている。我々は開院当初より、院内コンピュータシステムネットワーク(院内システム)を構築し運用してきた。 [目的] 院内システムは安全な透析医療実現、業務の効率化、 および医療情報共有化を実現することを目的としている。
[方法]東レ社透析管理システム(MICS) と富士通社医事システム(HOPE/SX-J:レセコン)、電子カルテ(HOPE/Dr.note:電カル)をネットワーク接続した。さらにフクダ電子社生理機能検査データ管理ソフト(FEV)、 富士フィルム社画像システム(CLEVIEWも接続し、MICSを用いた検査結果画像閲覧をNSステーション内およびべッドサイドから可能にした。
[結果]MICSとレセコンの連携で医事業務が効率化した。 電カル・MICS間は未連携で、現在透析記録の電力ル取り込みを計画中である。FEV をMICS や電力ルから起動させ、高額なDICOMサーバを導入することなくMICS上から画像閲覧を可能とした。 CLEVIEW画像の電力ル閲覧は専用ビューワーにより実現した。MICSからもFEV画像同様に閲覧できるシステムを実現し、 医療情報共有に大いに貢献している。
[考察]大病院で発展している院内システムを当院のような小規模透析クリニックにも凝縮して導入し、 診療形態にあわせて発展させていくことは安全な透析医療実現に重要である

D「透析排水中和処理装置より発生した液漏れ事故の報告」
八王子東町クリニック
樋貝弘明(ヒガイコウメイ) 山内エ、山田利久、 目黒勇樹、小俣百世  杉崎弘章
「はじめに」 下水道法施行令に基づき当院に設置されている透析排水中和処理装置が液漏れを起こし、テナントとして入っているビルに多大な迷惑をかけてしまった事故が発生したので報告する。
「経過」 2000年4月透析排水中和処理装置設置。 専門業者に定期的に点検及び清掃作業を委託し1回/月実施。 2O06年1O月24日 透析液排水中和処理装置が目詰まりを起こし、配営の通っている溝を伝わりフロア全体が水浸しとなる。また、床下(=下の階の天井)にも排液が溜まり、水滴が落ちていた。
「結果」 処理タンク内に発生したタンパタ質の塊が多量に蓄積し、処理能力を超えたため目詰まりを起こしたものと判明。 以後は、1回/月の専門葉者による定期点検及び清掃の他、我々技士の手による清掃作業を行い、正常動作を保っている。
「結語」 専門業者に委託しすべてのメンテナンスを任せることはせず、施設職員による点検作業も必要であることを再認識した。

E複数人穿刺・回収を試みて
東京都国民健康保険団体組合連合会 商多摩病院 人工透析センター1)。 同外科2) 山崎聡子1)、岡田國男1)、今田純一1)、松尾朋昭1)、川端政弘1)、安本浩二1)、北川元信2)
目的 透析開始・回収時の一連の操作を、スタッフ一名で施行してきた方法から、複数人穿刺、複数人回収に変更し、安全かつスムーズに透析治療が施行できるかを検討した。
方法 当施設では、透析室が2部屋に分かれているため、 スタッフを2チームに分け、 それぞれ開始時には、除水設定・バイタルチェック等を施行する音を1名、穿刺を施行する者1名、穿刺の介助および機械操作を施行する者1名と1部屋を計3名で分担した。 回収時には、回収時の機械操作・披針・バイタルチェックする者を2名、患者から披針した穿刺針を受け取り、血液が暴露することが無いよう処理する介助者を1名として施行する事とした。
結果 複数人穿刺・回収を施行することにより、作業が分担され、個々の役割と責任の所在が明確となり、 除水設定などのミスを軽減する事が出来た。 また、役割が決まる事により、 作業がスムーズに行われ、スタッフの人数を変更する事無く、一人で作業を施行する時よりも、短時間で穿刺・回収作業を行なうことが出来た。安全性に関しても、患者側と、血液汚染物を取り扱う者とに分けることにより、 血液汚染や汚染による感染の危険性を低下させる事が出来た。
結語 複数人数穿刺・回収を施行する事により、個々の役割と責任の所在が明確となり、透析機器操作等のミスの軽減につながることができた。 また、 スタッフの人数を変更しなくても、スムーズ、 かつ安全に作業を進めることができた。

F保存期末期腎不全患者の造影剤腎症の発症予防に対する血液濾過法(HF)および持続的血液濾過法(CHF)の試み
東京医科大字八王子医療センター臨床工学部 腎臓内科 村上秀崇、杉原英司、舟久保洋行、鈴木紀江、久野木忠、畑谷重人、渡辺妙子、明石真和、吉川憲子、中林厳、長尾桓、吉田雅治
[目的] 保存期末期腎不全患者の造影剤腎症の発症予防に対する、 造影剤投与前後におけるCHFの効果が2003年に報告されたが、本邦での追試報告はない。今回、当センターにおいて施行する機会を得たので、施行方法などについて報告する。
[対象・方法]保存期末期腎不全患者4名(男性4名、平均年齢69.8才)に対し、造影剤投与前にHF4時間、後にCHF18時間とした。装置はDBG-01およびTR-520、1.0uのPEPA膜を使用し、血液流量1OOml/min、補液流量1OOml/hr(サブラッドBS)、ブラッドアクセスはDLC、抗凝固剤はへパリンもしくはNMを使用した。
[結果]HFは平均4.3±0.5時間CHFは平均18.3±1.0時間施行した。造影剤使用量は平均123.8±46.3mlだった。H F前/CH F後/24時間後/7日後におけるCr値は、平均4.7 ±1.7/2.5±1.2/3.4±1.9/3.6±1.4mg/dlと上昇は認めなかった。また尿量は、平均1433 ±787/1267±902/1433±252/l933±764ml/日と減少は認めなかった。
[結語]造影剤投与前後におけるHFおよびCHFは簡便に施行することができ、 造影剤腎症の発症予防に有効になりうると思われた。

G留置針の血管内流出形状の視覚化とサイドホールの有効性
東京都国民健康保険団体組合連合会 南多摩病院 人工透析センター 今田純一(いまだじゅんいち)、岡田國男、松尾朋昭、山崎聡子、安本浩二、川畑政弘北川元信
[目的] 当院で使用している留置針が血管内でどのように血液が流出しているか視覚化とサイドホールの有効性を検討し今後の技術の基礎としたい。
[方法] 血液回路の動静脈回路を接続しブラッドポンプにセット、 静脈側に留置針を付ける。
1.生理食塩水を充填し血液流星を100ml 200ml 300ml 400mlと変化さ留置針の流出を観察する。
2留置針のゲージを換え同様に流量を変化させる。
3メインホールを変形させ同様に流量を変化させる。
4グリセリンで同様に行う。 *ここまで留置針は大気に開放。
5別の血液回路を血管に見立て(この回路流量は500ml/min)留置針を刺し上記の回路から液体を注入し流量を変化させ留置針からの、流出を記録する。
[まとめ] 生理食塩水ならびにグリセリンにおいてもサイドホールから噴出するという状態は流量の増加と比例しメインホールの直径に反比例サる、また変形させた針では150mlからサイドホールの噴出を確認した。チューブ内では水溶液であることもあり低い流量かちサイドホールの流出を確認できた。ただし流量をあげると注入した液体が大きく広がり確認不能となる。
[考察] 血管内の留置針からの流出はある程度視覚化できたと思う。 このことによりメインホールが閉塞もしくは変形した場合サイドホールがこれに代わることが確認できサイドホールの有効性を認識できた。

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